ここまで書いた「アクアリウムの水のよごれ」に関する知識を踏まえて、水槽のメンテナンス、そうじ、水換え、成分調整などのノウハウをまとめます。
水換えのポイント
まずは水換えのポイントです。前述のように、ろ過装置がきちんとはたらいていても、最終的分解生成物の硝酸塩はたまっていきますので、水換えは必要です。
水換えのタイミング・周期
どのくらいの周期で水を換えるべきか……けっこう大きな問題ですが、これはいちがいには言えません。水槽の大きさ、魚の種類と数、水草の栽培状況、水槽が置かれた光線環境など、数多くの要因が複雑にからみあって左右するからです。
ただ、どんなに間を空けても、最低一か月に一度は水換えしたいところです。コケのコントロールがうまくいっている場合でも、最低そのくらいは水換えしないと魚たちの健康に問題がでかねません。適切な水換え時期を知るには、水質検査薬を使うのがいちばん簡単で確実であるとは言えます。
水換えは、「水がよごれたからするもの」というわけでは必ずしもなくて、「水の成分を調整するため」にするものと言った方がよいのです。ですから、見た目でそれほど水がよごれていなくても、水換えする必要があることもあります。
水換えのタイミングを知るうえでは、まずpH値を見ます。日本の水道水の基準では、pH=5.8~8.5とされ、7.5くらいが一般的です。pH=6.0が中性ですから、酸性寄りの水質には厳しく、アルカリ性寄りには寛容な基準になっています。ほぼ、この基準にしたがって判断してまちがいはありません。
硝酸塩は酸性ですので、pH値が5にちかくなっていたら水換えが必要です。水質検査薬で硝酸値もわかるようなら、25㎎/l以上なら水換えです。硝酸値は10㎎/l以下が理想です。そして、アンモニアや亜硝酸がほとんど検出されないのであれば、バクテリアの活動に問題はありません。
反対にpH値が8.5を超えるアルカリ性を示していたら、アンモニアが高濃度になっていないかチェックします。高濃度であれば、富栄養化が進んでおりバクテリアがうまくはたらいていない可能性が大です。カルキ抜きが足りておらず、バクテリアを死なせてしまっているかもしれませんので、カルキ濃度もチェックしましょう。
水換えの基本
1回の水換えで、水槽の水の3分の1程度を入れ換えるのを基本に考えてください。多くても半分までです。
その理由はやはり「バクテリア」です。あまりたくさんの水を入れ換えてしまうと、新しい水にはバクテリアがほとんどいないので、水を浄化するバクテリアが大きく減ってしまうことになります。浄化能力が低下し、魚やエビへのダメージにもなります。ですから、水槽の水3分の1くらいにします。
新しい水は、もちろんしっかりカルキ抜きをした飼育水にします。
水換えにあると便利な道具
以下のような道具があれば、1回の水換えは15分程度で済みます。
・ポンプとホース
サイフォンの原理を利用してバケツに水をくみ出す道具です。ポンプの操作は最初だけで、水が落ち始めたら放っておけばどんどん抜けます。
・バケツ
水槽の水を受けます。サイフォンの原理を使うために、水槽の水面より低い位置に置きます。
・塩素中和剤・コンディショナー
あらかじめ塩素中和剤(カルキ抜き剤)を使って新しい水のカルキ抜きをしておきます。必要に応じて重金属や水カビを除去するコンディショナーも投入します。規定量はかならず守りましょう。
・温度計
水槽内の水温の変化が大きくなりすぎないように、新しい水の温度をチェックします。真冬で水温が低すぎるようであれば、しばらく室温で放置するなどしましょう。熱帯魚向けなら、温水器を通した水を加えて適温に調整します。
・スクレーパー、ブラシ
ガラス壁のコケを落とすのに使います。
・タオル・ぞうきん
かならずどこかしらぬれますから、用意します。
何度かおこなえば、手順を覚えて手早くできるようになります。
①新しい飼育水を用意する
水槽の水を抜いてから用意してもいいのですが、水温調整や塩素中和剤などの投入が必要なら、水換え直前までに用意しておいた方が効率的です。
②水槽の水を抜く
バケツを水槽より低い位置に置き、ホースを水槽とバケツに配置し、ポンプを操作して水を落とします。サイフォンの原理で、水がホースのいちばん高い位置を超えれば、あとはどんどん抜けていきます。このとき、底砂の目立つゴミなどもいっしょに吸い上げるといいでしょう。
③ガラス壁のコケをかき取る
必要な分だけ水が抜けたら、排水を止め、スクレーパーなどを用いて、ガラスの側壁についたコケをこそぎ落とします。できるだけ水槽の水にコケを散らさないようにした方が再発生を防げます。排水を受けたバケツの中でスクレーパーを洗いながら作業するといいでしょう。
④新しい飼育水を入れる
熱帯魚向けなら、入れる直前に水温の確認をしましょう。新しい水を入れるときは、一気に入れるのではなく、少しずつゆっくり入れます。底砂が舞い上がるような入れ方だと良くありません。
水槽メンテナンス・インテリア(大阪)